木戸弦楽器工房Kido Strings Workshop
栄町通3丁目旧居留地の西、古いビルが並ぶ通りです。3階の窓から港が少し見えます。

工房のこと

2009年に開いた、職人ふたりの工房です。楽器の販売はしていません。持ち込まれたものを直して返す、それだけをしています。

年間の受け入れおおむね400件ほど。うち半分は毛替えと弦の張り替えです。

直しかたを決めるときに考えていること

元の材を残す

新しくしたほうが早い場面でも、まず残す方法から検討します。楽器の音は、その楽器が持っている材でできています。

あとから外せるように直す

接着は膠を使います。50年後に誰かが開けたとき、困らない形で閉じておくのが、この仕事の作法だと思っています。

原因のほうを直す

同じ場所が2回割れるのは、割れた理由が残っているからです。症状だけ消して返すことはしません。

弾く人に合わせる

「正しい寸法」は一通りではありません。手の大きさ、弾く曲、置いている部屋。そこまで聞いてから決めます。

担当お預かりのときに、どちらが見るかをお伝えします。

ふたりでやっています

ヴァイオリン属

大阪の弦楽器店で7年、クレモナの工房で3年。2009年に神戸で独立しました。修理より先に採寸をする癖は、クレモナで最初の半年、ひたすら寸法を書き取らされたところから来ています。担当は駒、魂柱、ネックまわり。休みの日はだいたい木材屋にいます。

ギター・フレット楽器

ギター製作の専門学校を出て、名古屋のリペアショップで6年。2018年から工房にいます。フレットとナットの仕事が得意で、「押さえやすさ」の相談はほぼ有村が受けています。自分でも弾くので、弾き心地の話が具体的です。

湿度年間を通して48〜55%。梅雨と真冬は機械で作っています。

工房の中

20畳ほどの部屋に、作業台が2台と、材の棚があります。特別な設備はありません。この仕事で一番効くのは、湿度と、明るさと、静かさです。

  • 材の棚には、スプルース・メイプル・黒檀を、それぞれ5年以上寝かせたものだけを置いています。切ったばかりの木は動くので使えません。
  • 作業台の上は自然光です。ニスの色を見るときも、駒の面を見るときも、蛍光灯だと判断を間違えます。
  • お預かりした楽器は、作業していない間も工房の湿度の中に置きます。返す直前に測り直すのは、そのためです。
アコースティックギターを正面から見た線画。ヘッド、指板、サウンドホール、ブリッジの位置がわかる。
工房で採寸に使っている図。持ち込まれた楽器はこの上に寸法を書き込んでいきます。
これまで移転は一度。同じ通りの中で階を移りました。

工房のこれまで

2009木戸が神戸市中央区で開業。最初の3年はひとりで、弓の毛替えが仕事の大半でした。
2014栄町通の現在のビルへ移転。材の棚を置ける部屋を探して、同じ通りの中で3階へ。
2018有村が加わり、ギターとフレット楽器の受け入れを開始。
2022お預かり時の採寸を記録として残す形に切り替え。返却時に報告書をお渡しするようになりました。
2026近隣の3つの音楽教室と、年に一度の点検日を組んでいます。

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